大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)1284号 判決 1950年12月12日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人佐藤久四郎の上告趣意第一点について。

満十五才又は満十六才の未成年者であるというだけで事理を弁える能力がないということはできないのであるから、これらの者の供述は証拠能力を欠くものではない。その供述を信用し得るものとして証拠として採用するか否かは事実審たる裁判所の自由裁量に委ねられている問題である。それゆえ、原審が所論志村庄二、中込正夫に対する副検事の聴取書記載の供述を証拠に採用したことについては所論のような違法はなく論旨は理由がない。

同第二点について。

所論志村庄二、中込正夫はいずれも第一審の公判期日において証人として訊問されているのであるから、被告人はこれらの供述者を訊問する機会を与えられたわけである。それゆえ、控訴審たる原裁判所がこれらの供述者を再び証人として公判期日に召喚して訊問しないでその供述を録取した書類を証拠としたからといって刑訴応急措置法一二条一項に違反するものではない。このことは、当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第七三一号同二五年三月一五日大法廷判決、昭和二五年(れ)第一一三号同年六月一三日第三小法廷判決)とするところであって、所論を検討しても右判例を変更すべき必要を認めない。それゆえ、論旨は採用することができない。

同第三点について。

刑法二四四条は、同条所定の者の間において行われた窃盗罪及びその未遂罪に関しその犯人の処罰につき特例を設けたに過ぎないのであって、その犯罪の成立を否定したものではないから、右窃盗罪によって奪取された物は賍物たる性質を失わない。それゆえ、仮りに被告人においてその買受けた物品につき所論のような認識しか有しなかったとしても賍物罪の成立を阻却せしむるものではない。

よって、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例